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横浜の探偵ブルーフィールドリサーチ

ゲゲゲの探偵

蒸し暑い夏の夜

二人の探偵はとあるマンションの一室を監視していた。

依頼人は夫の浮気を疑う主婦。

対象者はすでに部屋の中にいるはずだった。


探偵A:「まだ出てこないな」小さな声で呟いた。


探偵B:「そうだな。依頼人の話だと、今日は必ず女に会いに行くって言ってたみたいだけど」


二人はマンションのエントランスと対象者宅の玄関扉をなんとなく視界に入れながら、時折小声で会話をするだけでほとんど身動き一つしなかった。


探偵A:「そういえばさ、この前ネットで見たんだけど、浮気調査中に幽霊を見た探偵の話があったんだ」唐突に話を切り出した。


探偵B:「幽霊?まさか」半信半疑だった。


探偵A:「いや、本当らしいよ。ラブホテルの部屋で、誰もいないはずなのに人影が見えたり、ラップ音が聞こえたりしたんだって」


探偵B:「そんなバカな。もし本当だったらもう探偵なんてやってらんないよ」


探偵A:「まあ、そうだな。でも、ちょっと怖いもの見たさもあるよな」


二人はしばらく幽霊の話で盛り上がった。

しかし、時間が経つにつれて会話も途切れがちになっていった。

静寂の中で、軽バンのエアコンの低い唸り音だけが響いていた。


探偵B:「なあ、今の音聞こえた?」突然身を乗り出した。


探偵A:「音?いや、何も」首を傾げた。


探偵B:「いや、確かに何かが動いたような音がしたんだ。気のせいかな」


二人は再び耳を澄ませた。しかし何も聞こえなかった。

エアコンの音だけが規則正しく響いていた。


探偵B:「やっぱり気のせいだったみたいだな」


探偵A:「そうだな。でも、こんな時間に幽霊なんて出たらさすがにビビるよな」


二人は再び沈黙に包まれた。しかし、今度はどこか落ち着かない空気が漂っていた。


探偵B:「ほら、また聞こえた」再び声を上げた。


探偵A:「今度は何だ?」緊張した面持ちで尋ねた。


探偵B:「ドアをノックするような音がしたんだ」


二人は顔を見合わせた。

確かに、誰かがドアをノックするような乾いた音が聞こえたような気がした。

しかし、監視している部屋のドアは固く閉ざされたままで動く気配はなかった。


探偵A:「まさか、幽霊じゃないだろうな」恐怖を隠せない様子だった。


探偵B:「さあな。でも、こんな時間に誰が来るっていうんだ?」


二人は恐怖に震えながらもカメラを覗き込み、マンションの様子を伺った。しかし、視界の中には誰もおらず何も変わった様子はなかった。


探偵B:「やっぱり気のせいだったのかな」安堵の息を吐いた。


探偵A:「そうみたいだな。もう幽霊の話はやめようぜ、心臓に悪い」


二人は再び沈黙に戻った。

しかし、今度はどこか奇妙な安堵感が漂っていた。幽霊の恐怖よりも、現実の浮気調査の方がよっぽど恐ろしいと感じたのかもしれない。


しばらくして、対象者の男が部屋を出て行った。

二人は急いで後を追いかけた。

幽霊騒動はすっかり忘れ去られ、いつもの日常に戻っていた。



蒸し暑い夏の夜の出来事は

二人の探偵の記憶の中に少し不思議な思い出として刻まれた。

そして、それは酒の肴として語られることになるのだろう。


「そういえばさ、この前の浮気調査の時…」



終わり



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