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横浜の探偵ブルーフィールドリサーチ

家出人調査日記 東北編#4

※noteではイラストも入っており読みやすいです


※個人名や地域は特定を避ける為に名称を変更しています。



23時も間もなく四半刻。


私はコンビニの広くて暗い駐車場に車を停めていた。

ホテルまでの帰りを考慮したらここが最後の聞き込みかなと考えながら駐車場内を見渡した。


山田さんの車はもちろん見あたらず、隅の区画には従業員のと思わしきが車が2台と店舗近くに私の車のみ。




もちろん店内に他の客はおらず、従業員も奥に引っ込んだままだ。


HOTの缶コーヒーをカウンターに置き、しばらく待っていると

奥から面倒くさそうな感じで30代位のスタッフがやってきた。


「お仕事中すみません。私、2日前に失踪した男性を探しておりまして、、、」


ビラを見せながら「この男性なんですが、ご存知ないですか?」


すると男性が

「あれ、これ山田さんですよね?」

だるそうな雰囲気から一転して、カウンターから出て私の隣にやってきた。


「そうです、お知り合いですか?」


「いや、知り合いって言うか。自分がよく一緒に呑んでるツレの知り合いです。顔見知り程度だからあまり話した事もないかなぁ。いつから失踪してるんですか?」


「2日前の朝からです、仕事に行ってくると言い残し失踪しました。もちろん会社には出勤してないそうです。

最近山田さんとお会いしました?」


「そうなんですかぁ。最後に見たのが2週間位前かな?」


「その時の様子ってどうでした?」


「うーん、言われてみれば可怪しかったよな、、、」


「と言うと?」


「いやね、山田さんってお酒弱くて1、2杯呑んだら後はソフトドリンク飲んでる様な人なんですけど。

2週間前に見た時って、明け方で駅前の呑み屋街をべろべろに酔った感じで歩いてたんですよね、しかも一人で。


その時は山田さんじゃんって認識しかしてなかったけど

呑めない人が一人でフラフラしてるのって今考えるとやっぱ可怪しいですよね、、、。」


2週間前というと、山田さんは休業期間中だ。

奥さんもたまに呑みに出掛けるが全然強くないと言ってたよな、、、


「他に何か変わった事ってありました?」


「それぐらいですね、、、。」


「そのツレって方を紹介してもらえます?」


「そいつ、その時たまたま帰ってきてて。普段は東京で働いているんですよ。

今電話してみましょうか?」


「ぜひお願いします。」




――――――――――――――――――



東京の彼は就寝前だったので快く答えてくれた。


高校時代の同級生で、たまに街で会ったら会話する程度の仲なので失踪に関係する様な有力情報は得られなかったが、

彼からは、知らない仲じゃないので必ず見つけてやって下さい、自分も地元の友人に聞いてみます何かわかれば連絡しますので。

と協力を約束してくれた。


「自分の方も色々と当たってみます。」


コンビニの従業員も快く協力してくれる。


私はお願いとお礼を言い、車に戻った。



都心と違い、地方の人達は真剣に話を聞いてくれる人が多い。

また今回の様に協力してくれる人もいるので地方の家出人調査はこちらとしてもやり甲斐を感じられる。


都心ももう少し隣近所の人に関心があれば

家出人調査もずいぶんとはかどるのに、、、



呑み屋街かぁ、回ってみる価値はじゅうぶんあるな。





ホテルに着いた時には既に日付が変わっていた。


先に着いていた杉原が部屋にやって来た。


「お疲れ様、初めての家出人調査どうだった?」


「とにかく疲れました、こんなに人と喋ったの久しぶりですよ。」


「だよね、なんか情報あった?」


「山田さんに関しては何もなしです。

でも、勤め先の荒巻製作所の事は多少聞けましたよ。」


「へえ、どんな話?」


「話してくれた人達皆が言ってたのは、いじめ?パワハラ?がかなり横行してるって」


「この時代に?」


「ええ、だから結構辞める人も多いんですって。気の弱い人や外国人なんかには特に当たりがキツイって言ってました。」


「終わってんね、その会社。」


「だから山田さんもひょっとしてって感じですよね。」


「全然有り得る話だね、奥さんも鬱になった原因は会社の人間関係かもって言ってたからな。」


平成の終わりなのにこういった人格を否定する様な行為が横行している。


未成年の学校とかならいざ知らず、成人した大人が集まっている会社でその様な蛮行を笑いながら行っていると考えると、同じ大人として情けないし恥ずかしい。




「明日はどんな感じで動きますか?」


「そうそう、明日なんだけどさ。

山田さん、かなりキャンプが好きだったみたいだから、

早い時間帯は杉原君のエリア内でキャンブ場回ってみてよ。」


「わかりました!」


「あわせて、聞き込みして地元の人しか知らないようなキャンプ出来る場所とか、山の中の広場みたいな場所も回って。

そういう場所って夜はホントに闇になるから

明るい時間帯に出来るだけ回ってみて。」


「はい!」


「暗くなったら引き続き店舗なんかの聞き込みと広い駐車場のチェックもお願いね。」


「青野さんはどう動くんですか?」


「俺は日中そっちと同じ感じで回って、夕方からは駅前の呑み屋街回ってみるよ。

失踪前にやけ酒してフラフラしてたって情報出たからさ。」


「自分も呑み屋街回りましょうか?」


「そんなに広い呑み屋街じゃなさそうだから俺だけでいいよ、若いってだけで舐めてかかる人達もいるからさ。」


「そうなんですね。俺も呑み屋街行きたかったな、、、」


「酔っ払いとか絡んでくるからウザいぞ?

あ、だったら終わり間際に運転代行に聞き込みしてよ。

地方の人達って横浜と違ってタクシーあんま使わないんだよ。」


「へぇ、そうなんですか。知らなかったです。」


「多分、キャンプ場と呑み屋街は今回の鍵になるような気がするんだよなぁ。なんとなくだけど。」


「ふーん、そんなもんなんですかねぇ。自分は初めてなんでよくわからないです。」


「よし!じゃあ、明日は10時から始めて、今日ぐらいの時間にホテルに戻ってくる感じで。」


「マジっすか?長ぇーっすよ、、、、」


「お疲れ!早く部屋に戻って寝な。」


「お疲れ様でぇす。」


少々ダルそうにしながら杉原は部屋に戻っていった。




こうして、横浜からの移動も含めバタバタした1日目が終わった。




2日目

前日の打合せ通り、私と杉原は日中双方のエリア内のキャンプ場や道の駅、山中の広場、聞き込みしてあがってきた自殺スポット等をくまなく回った。


令和のキャンプブーム前と言う事もあり、この12月にオープンしているキャンプ場も多くはなかった。




16時、日中の調査では大した情報も得られず間もなく日没を迎える。



杉原に連絡を取り、そろそろこっちは呑み屋街に向かう旨を伝える。


「じゃあ僕はまた店舗の聞き込みに切り替えますね。

青野さん、酔っ払いに絡まれない様に気を付けて下さい!」



たまにこのような生意気な事を言うのが杉原だ。

ま、そこが憎めないところでもあるのだが。




山間部から繁華街まで車を飛ばし、

この街の呑み屋街に着いたのは17時を回った頃だった。


すっかり夜の帳が下り、お店も開店し始める。



さあ、ここからは気合を入れ直して聞き込むとしますか。




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