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横浜の探偵ブルーフィールドリサーチ

家出人調査日記 東北編#5

※noteではイラストも入っており読みやすいです


※個人名や地域は特定を避ける為に名称を変更しています。



呑み屋街

饒舌に話してくれる人もいれば、フルシカトもされる。

真剣に話してくれる人もいれば、冗談しか言わない人もいる。



呑み屋街の都心と地方の違いは、人との距離感

地方の場合は距離感が近い印象だ。



近いからこそ有益な情報を拾えたり

逆によそ者扱いを受け全く収穫がない事も。



何が言いたいのかと言うと

呑み屋街での聞き込みはそんなに好きじゃないって事だ。


酔っ払いから話を聞くのは大変だし、話を切り上げるのも時間がかかる。


基本的には従業員メインで聴き込むのだが

必ず酔っ払いが割って入ってくる。


ま、色々と思う事はあるが気合を入れて居酒屋、キャバクラ、ガールズバー、スナック、クラブ、バー等をひたすら回る。




広くない呑み屋街もあってか山田さんの情報と荒巻製作所の噂話はちょこちょこ出てくる。


まず荒巻製作所についてだが、杉原の言った通りイジメが横行しているようだ。


課長や班長の個人名まで挙がってくる始末、、、。


当人達も酔った勢いでイジメやパワハラを誇らしく語っているらしい。


昭和の悪弊を平成の終わりまで継続し、弱い立場の人間を叩きまくっててこの人達はよく普通に生きてられるよな、、、。



問題の山田さんの方だが、ちらほらと目撃情報を拾えたものの

何かに悩んでたっぽい、全く楽しそうに呑んでいない人だったという内容がほんどで失踪に繋がる有益な情報は挙がってこない。



ただ、1つだけ目立った内容がスナックから聞けた。

失踪する4日前、店にやって来てものすごい勢いで呑み、


「もうね、解放される方法自体はわかってたんだけど、

でも決めたんだ、だから今日はお祝いみたいなもんだから皆で祝ってよ。」


と一人で祝杯をあげていたとの事。


その時の山田さんは終始テンションが高く、キャストさんも強く印象に残ってたようだ。


結局山田さんは、キャストさん達が何の祝杯なのか尋ねても答えてくれず、40分程一人で騒いで帰ったらしい。



間もなく日付も変わろうとする頃、

呑み屋街の端に位置するクラブ「ルージュ」

今日はこのお店での聞き込みで最後にしよう。


少し暗い店内へ入る。


お客さんはおらず、ここだけ時間の流れが外と違うそんな空間だった。


ママさんに話を聞いた。





「うーん、この人自体はお客様ではいらっしゃらないんですけど、、、、。」




「どうしました?」


「お話うかがっていたら、似てるなと思いまして、、。」


「?」


「夜津波ダムってもう回られましたか?」


「いえ、初めて聞きました。」





「15年前の話なんですが、、、。



実は私の夫も同じ様な時期に失踪しまして、、、。」





「夜津波ダム周辺の道はこの時期もう少しすると積雪の関係で通行禁止期間に入るんです。


春になり、雪もだいぶ溶けて通行禁止を解除する前に

消防の職員さんが道の確認をするそうなのですが


毎年白骨になった人達が見つかるそうなんです。」



「、、、、、、。」





「私の夫も、15年前にそこで、、、、、、。」




「そうですか、、、。


お辛い記憶を思い出させて申し訳ございませんでした。」



「いえ、辛いのは林道で見つかったと連絡が来るまでの間だったので。


でも、なるべくなら生きていた頃の姿で見つかってほしかったんですが、、、。」




「その夜津波ダムって有名なんですか?

今まで聞き込みしてて全くその名前が出てこなかったので。」


「どうでしょう、ダム自体は県境あたりでここから離れてますからね。


警察の方からは毎年数体見つかると聞きました。」



「そうですか、早速明日回ってみます。


お仕事中なのにお時間取っていただき、ありがとうございました。」



「奥さんの為にも早く見つけてあげて下さいね。

家族としては待っている時間が一番辛いんで、、。


無事、見つかったらその方にこちらにいらしてくださいとお伝え下さい。


青野さんも、お仕事が終わったらぜひ遊びにいらして下さいね。」



「わかりました、次は楽しい会話をしましょう。」



そう言って「ルージュ」を後にした。




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