探偵A:「なあ、腹減ったな」
後部座席に座る探偵Bはスマホから顔を上げずに答えた。
探偵B:「また?さっきコンビニ寄ったじゃん」
探偵A:「あれは3時間前だ。調査は体力勝負って言うだろ?」
探偵B:「この仕事で一番体力使うの、張り込み中の暇つぶしなんだけど」呆れたように息を吐いた。
ムッとしたが、言い返す言葉が見つからなかった。
ラブホテルのネオンサインが虚しく光る。
探偵A:「そういえば、お前彼女と上手くいってんのか?」
探偵B:「別に。なんで急にそんな…」唐突な話題転換に目を丸くした。
探偵A:「いや、お前最近妙に大人しいなって」
探偵B:「最近、彼女が推理小説にハマってて。会うたびにトリックの解説聞かされるんだよ。正直ちょっと…」
探偵A:「なんだそれ。俺も昔、彼女に恋愛小説の歴史を講義されて別れたことあるぞ」
二人はしばらく、過去の恋愛話に花を咲かせた。
対象者が出てくる気配はない。
探偵A:「…そろそろ交代しようぜ。俺、コンビニ行ってうまい棒でも買ってこようかな」
探偵B:「どうぞどうぞ。でも、あんまり食べ過ぎると対象者が出てきた時、動けなくなるぞ?」
探偵A:「大丈夫だ。俺のプロ意識は、うまい棒ごときじゃ揺るがない」
そう言って車から降りる。
探偵Bは再びスマホを手に取り、恋愛小説を読み始めた。
探偵の仕事は、時に退屈との戦いでもあるのだ。
終わり
神奈川 横浜の探偵 ブルーフィールドリサーチ
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