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横浜の探偵ブルーフィールドリサーチ

熱っぽく語る真実

茜色に染まり始めた空は、夏の終わりを告げるように、どこか寂しげに街を見下ろしていた。

生温かった風が、頬を撫でるたび、かすかに冷たさを増していく。

行き交う人々の装いも、夏の明るい色合いから、落ち着きのある秋の色へと変わり始めていた。


高台に位置する公園の駐車場に停めた軽バンの中で、二人の探偵が暇を持て余していた。


今日の対象者は、郊外に住む裕福な主婦。

依頼者は、彼女の浮気を疑う夫である。


探偵A:「まったく、出てくる気配ないな」ダッシュボードに置かれたせんべいをボリボリと食べながら言った。


探偵:B「奥さん、本当に浮気してると思うか?」退屈そうにスマートフォンをいじりながら聞いた。


探偵:A「さぁ。依頼者の旦那ってやつも、やたらと嫉妬深い男でさ。奥さんが男と話しただけで、浮気したって騒ぎ立てるタイプだ」


探偵B:「でも、依頼受けるってことは、クロだって思ってるってことだろ?」


探偵A:「そうとも限らないでしょ。奥さんだって、息抜きに男友達とランチくらい行くさ」ニヤリと笑った。


探偵B:「じゃあ、なんで受任するんだよ……」


探偵A:「まぁ、一応プロだから。依頼されたら、ちゃんと証拠掴まなきゃ仕事にならないじゃん?」


そう言いながら、探偵Aは助手席の下から、大きなカメラバッグを取り出した。


探偵:A「これ、自腹で買った望遠レンズ。これで対象者の家の窓までバッチリ見える」悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。


探偵B:「それじゃ、ただの盗撮じゃん……」呆れながら答える。


探偵A:「盗撮なんてするわけないだろ。このレンズ、実は赤外線カメラにもなるんだ。部屋の中の様子が、熱感知で丸見えってわけだ」


探偵B:「へぇ、そんなものまで……」用意周到さに驚かされた。



二人は、高性能カメラで対象者の家の様子を観察し始めた。


リビング、ダイニング……。


しかし、どの部屋にも人の気配はない。



探偵B:「 留守か……?」


探偵A:「いや、いるぞ」ニヤリと笑った。


モニターに映し出されたのは、寝室のベッドの上で、何やら激しく動く二つの影。


探偵B:「うっ……これは……」


探偵A:「ははは、熱くなってやがるぜ」興奮気味に探偵Aが言う。


しかし、次の瞬間、彼の顔色はみるみるうちに青ざめていった。


探偵B:「おい!? どうしたんだ!?」


探偵A:「や、やべぇ……、これ……」震える手でモニターを指さす。


そこには、先ほどまでとは比べ物にならないほど大きく、そして激しく動く、一つの影が映っていた。


探偵B:「こ、これは一体……」


探偵A:「……大型犬だ」力なく呟いた。


探偵B:「大型犬……?」


探偵Bが、恐る恐るモニターを覗き込む。そこに映っていたのは、対象者と思しき人物にじゃれつく、セントバーナードの熱感知画像だった。


探偵A:「……依頼者、犬のこと、奥さんの浮気相手だと勘違いしてたんじゃないのか……?」



「…………」



二人は、顔を見合わせて、深い溜息をついたのだった。



終わり



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