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横浜の探偵ブルーフィールドリサーチ

銀の龍の背に乗って

少女は冷たい風が頬を撫でる高層ビルの屋上に立っていた。

都会の喧騒に疲れた心を抱えるごく普通の高校生だった。


「もう、疲れたんだ...」 17歳の少女はそっと瞳を閉じた。

ビルの屋上からの景色は、あまりにも美しかった。



「銀の龍の背に乗って、届けに行こう…」


少女は父が好きだった中島みゆきの歌を口ずさみながら夜空を見上げた。都会の夜空は狭く星もまばらだった。


そんな時、少女の目に不思議な光が飛び込んできた。それは今飛ぼうとしている場所の少し先にあるビルの屋上から漏れる銀色の光だった。


「何だろう……」

少女は光に引き寄せられるように探しに向かった。


光は古びた建物の屋上扉の隙間から漏れていた。少女は恐る恐る扉を開けた。

扉の向こうには見たこともない光景が広がっていた。そこは銀色の光に満ちた幻想的な空間だった。

そして、その空間の中央には巨大な龍が眠っていた。龍は全身が銀色の鱗で覆われ、その背中には鞍が備え付けられていた。


少女は息をのんだ。これが中島みゆきの歌に出てくる「銀の龍」なのだろうか。


その時、龍がゆっくりと目を開けた。その瞳は深い知性と優しさに満ちていた。


「乗るがいい」龍は穏やかな声で少女に語りかけた。


少女は戸惑いながらも龍の背中に乗った。龍はゆっくりと立ち上がり空へと舞い上がった。


都会の夜景がみるみるうちに小さくなっていく。

少女は風を切ってどこまでも飛んでいく龍の背中で自由を感じていた。


「お前の悲しみが翼となり、その傷跡が羅針盤になる。

お前の羅針盤はどこに向かえと言っている?」龍が少女に尋ねた。


少女は少し考えた後、答えた。


「私が、生きていてもいい場所……」


龍は何も言わずに夜空を駆け抜けていった。少女は龍の背中で星を掴むような心地だった。



夜が明け太陽が昇り始めた頃、龍はとある森の中に降り立った。そこは緑豊かな静かな場所だった。


「ここが、君の新しい出発点だ」龍は少女に優しく語りかけた。


少女は龍に感謝の気持ちを伝えた。

そして龍は、再び空へと舞い上がり姿を消した。


少女は森の中で深呼吸をした。都会の喧騒から解放された少女の心は穏やかで希望に満ちていた。


「銀の龍の背に乗って、私は生きる理由を探しにいく」


少女はそう呟き森の奥へと歩き出した。

彼女の前にはまだ見ぬ未来が広がっていた。



終わり



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